医学まめ知識
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リハビリテーション
リハビリテーション科とは
 運動機能障害及び精神障害などの障害者を対象として、医学的リハビリテーションを実施する診療科です。
リハビリテーションの語源
 再び(re)能力を持たせる(habilitate)ということが、リハビリテーションの本来の意味です。
 能力とは、人間にしか具わっていない能力、すなわち下肢で直立歩行が出来、上肢を体移動以外の目的に使い、手という知的、創造的な活動を可能にし、生存と種と個体の維持にとどまらず、生存の効果を外界に及ぼし文明、文化を作るに至った手の使用、身ぶり、手ぶりから発達していった言語によるコミュニケーション能と思考と、それを次世代に伝え文化を発展させてゆく能力を原点とします。
 猿人が初めて手を使い、物を作る段階に至ったヒトを意味するホモ・ハビリス(能力のある人)が、リハビリテーションの語源であります。
リハビリテーションとは
 リハビリテーションいう言葉は、戦後 間もなく、アメリカから伝えられました。適当な訳語が見つからず、そのままリハビリテーション(以下リハビリと略す)として、音訳されました。
 リハビリ医学は予防医学、治療医学に次ぐ、第3の医学として、新しい医学の分野を得るようになりました。
 リハビリに関しては、よく理解されてないところがあります。例えば病気が一段落してから残った機能障害に対して、行うものだとか、又いわゆる「訓練」であるとか、誤解されていることも多いようです。
 リハビリの基本的理念は「人間らしく生きる権利の回復」であり、それには極めて広い領域が含まれます。
 リハビリには種々の相があり、その第一段階が障害の医学的リハビリです。それから障害者に対する心理的リハビリや特殊教育などの教育的リハビリ、それから職業的リハビリ、また障害をもったひとを受け入れる社会的リハビリ、というふうにいろいろな相を含んでいます。
障害と障害者
 リハビリの対象は疾患ではなく障害であり、むしろ障害を有する人(障害者・老齢化すれば障害者化する)であります。そして、その目標は「人生の質」(生き甲斐・生命の質・生活の質)の向上です。
 障害を身体的レベルの機能障害、生活レベルの能力低下、社会レベルの社会的不利と3つのレベルでとらえますが、これらは相互に関係するものであります。
 社会的不利に対するアプローチとして、家屋の改造、周囲の意識の変化、車椅子でどこにでも行ける街ずくりなどの、社会環境の改善が必要になります。
自立とノーマライゼーション
 障害者の自立に大きな価値をおくことがリハビリの理念です。自立生活とは、自己の自由意志によって病院・施設を離れて地域の中で必要な介助を受けつつ、精神的独立性を保って自立した生活を営むことであります。 
 障害者(老齢者)を持たない社会などあり得ません。社会が障害者と健常者と同じように扱うことがノーマライゼーションということであり、それは老人や障害を持つ人々が健常者とともに、地域の中で生き生きとした生活を送れることをいいます。
地域リハビリテーション活動
 リハビリの理念の普及は、医療と福祉の体制に大きな影響を及ぼしてきました。医療施設、社会福祉施設、職業訓練施設、その他の関連施設を含め、そこで展開されているサービスや活動の広い範囲がリハビリの理念を基盤として枠づけられています。
 近年、「地域リハビリ活動」という言葉がしばしば使用されるようになりました。しかし、それは一体何でしょうか。
活動の定義
 地域リハビリ活動とは、地域に対して展開されるリハビリ活動のすべてを指し、
  1)病院や施設に対象者を収容して行うサービスに対して、居宅者を対象に行うサービス活動
  2)通所・通院などの利用施設を中心とする地域活動
  3)対象が個人だけでなく地域社会とそのシステムに対する活動などを含むものからなります
活動の背景
 地域リハビリ活動は日常生活動作の周辺を形成している多くの関連動作、さらに労働、経済生活、家庭生活、社会参加、趣味、文化活動、旅行、レジャー活動、スポーツなどを通して、人生の質(QOL)の向上にも関係することになります。
活動の構造
 既存の保険・医療・福祉に関する地域活動体を、そのまま利用した形でのリハビリの推進が考えられなくてはなりません。
地域保健におけるサービス
 老人保健法が制定され、訪問指導や機能訓練が位置づけられました。また地域ごとに医療・保健・福祉連携を目指した高齢者サービス調整チームが設置され、保健婦がその中心的役割をもって活動が展開されています。
地域医療活動におけるサービス
 高齢化と在宅ケア(通院を含む)の重視は、医療サービスに変化を与え、新たな在宅サービス体型の充実がなされています。
 介護保険制度への支援など。
社会福祉におけるサービス
 介護保険制度導入におけるサービスなど。
リハビリテーション マインド
 リハビリの心をもった医療であるか、またリハビリの心をもった社会であるかどうかということが非常に大事であり、その社会の民度の高さを端的に表すものだと言っても間違いではありません。
 誰もが住み慣れたまちで家で、尊厳ある老いと死を全うすることができるためにも。
(1995〜1996)「にんげん」(待合室談話会)より。
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