医学まめ知識
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インフルエンザ
昨年、10年ぶりと言われたインフルエンザの流行がありました。今年も1月の中旬からインフルエンザが流行し、各地でインフルエンザが基でお年寄りなどが相次いで死亡したことがマスコミに大きく取り上げられました。幸いなことに安達管内では今週に入りインフルエンザは終息に向かいつつあるように思います。遅れ馳せながらインフルエンザ対策についてまとめてみましたので参考にしていただければ幸いです。
それではまずインフルエンザと普通の風邪はどう違うのかということについて述べてみましょう。1年を通じて風邪は普通に見うけられる疾患の一つです。風邪のウイルスは200種類以上あってインフルエンザウイルスもその中の一つです。インフルエンザは風邪の王様とも言われますがその特徴としてあげられるのは、急な高熱(39℃くらい)、筋肉痛・関節痛、数日後に咳、そして短期間に流行する点です。インフルエンザは合併症を起こしやすく、気管支炎、肺炎、中耳炎、筋炎、関節炎、心筋炎、脳炎、髄膜炎などが知られています。特に肺炎は幼児や高齢者でインフルエンザによる死亡の大きな原因になっています。成人でも心筋炎を起こして死亡する事があり、インフルエンザで怖いのはこれらの合併症です。
次に感染経路(飛沫感染として鼻粘膜やのどの粘膜で増殖する)を踏まえての対策を考えてみましょう。鼻粘膜には線毛と呼ばれる細かい毛がびっしりと生えていて、表面を流れる粘液によって外界からの異物を安全な場所に運んでいます。そしてその働きが活発になるためには充分な湿度(60%から70%程度)が必要で、空気が乾燥していると粘液の流れが悪くなり、即ち感染しやすくなります。
次いでのどを冷やさないことが大事です。それではどんな時にのどの温度が下がる、即ち血流が悪くなるかと言うと、手やのどが露出されている時、のどから遠く離れた足が冷やされても自律神経が働いてのどの温度が下がります。タバコは線毛を直接痛めるだけでなく血管を収縮させてのどの温度を下げてしまうし、急激な運動も血管を収縮させてのどの温度を下げ、イライラするなどのストレスもまたのどの温度を下げてしまいます。
今度は角度を変えて、免疫力を高めるにはどうしたら良いかを考えてみましょう。まず血液の中の白血球、中でもリンパ球と顆粒球に着目してみましょう。リンパ球はウイルスをやっつける働きがあり、顆粒球は細菌を食べる働きがあります。インフルエンザはウイルスの感染なので当然リンパ球が多い方が良いのですが、緊張状態が続くと顆粒球が増加してしまいます。逆にリラックスした時にはリンパ球が増えることが知られています。
インフルエンザは良くなるまで一週間くらいかかりますが、途中で解熱剤を使って無理に熱を下げて仕事をするなんてことは良くありません。治りかけが大事で5日目、6日目に油断してはいけません。
その他の対策(手洗い・うがい・マスクなど)について
  • 手はウイルス感染経路の大きな一つです。30秒、流水で手を洗うと細菌やウイルスは無くなります。
  • うがいはのどの奥までうがい薬が届くように天井が見える角度まで顔を上げて7−8回、時間をかける。
  • マスクは飛沫を押さえることによって感染した人が菌をばらまくことを阻止する働きがある。クシャミの時には鼻を手などで覆うようにする。
  • 適量のアルコールは血行を良くする。
  • 入浴は熱が下がるまでは控える、湯冷めをしない。
  • 人込みを避ける。
  • 乾燥を防ぐ(室内の湿度は60〜70%)
  • のどを冷やさない
  • ストレスは大敵
  • 急な運動や喫煙は良く無い
  • たっぷりな睡眠
次に合併症、二時感染を起こしやすい危険群について書いてみました。
  • 肺機能低下(気管支喘息、気管支炎、慢性気管支炎、肺結核、気管支拡張症、肺切除を受けているなど)
  • 心機能低下(心臓弁膜症や慢性心不全)
  • 腎疾患(慢性腎不全、人工透析や腎臓移植を受けているなど)
  • 代謝性疾患(糖尿病など)
  • 免疫低下状態(自己免疫疾患、がんで放射線治療や科学療法を受けているなど)
  • 超高齢者、基礎疾患のある高齢者
  • 基礎疾患のある子ども
  • 妊婦
上の危険群、更には受験生、休養が取れない人は来シーズンに備えて12月中には2回ワクチンの接種をしておいた方が良いでしょう。ただしワクチン接種をするかどうかは医師とよく相談してからにしてください。ワクチンの有効率は75〜90%で、接種から10日以上経たないと効果を発揮しませんので、接種のタイミングが大切になります。
医学豆知識 岩本憲夫