麻疹(特にワクチン)について
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 東京を中心として、高校、大学、成人の間で麻疹(はしか)が流行しております。 麻疹ワクチンに関するテレビ番組をご覧になり、心配されて医療機関を受診される方がおいででしたので、今回は麻疹ワクチンについてご説明したいと思います。 
 麻疹ワクチンの効果:日本で使用されている麻疹ワクチンは非常に優秀で、その効果は95%以上と考えられております。数%の確率で、ワクチンを接種しても十分な抗体が得られない事があります(一次ワクチン不全と言います)が、ワクチンを接種していれば麻疹にはほぼ罹患しないと考えて良いと思います。
 ワクチンを接種後、10年以上経過すると:予防接種によって十分な抗体が獲得できた場合でも、その効果は次第に弱くなっていきます。通常は、麻疹に対する免疫が有効な状況下で麻疹ウイルスに時々接触する事で、その都度、麻疹に対する免疫がより強くなる(ブースター効果と言います)のですが、麻疹の発生頻度が低下した近年では、このブースター効果が得られないため、ワクチンの接種から10年以上経過した中高生では、麻疹への免疫力が低下している事が多く、麻疹にかかってしまう場合(二次ワクチン不全と言います)があります。
 日本における麻疹の発生状況とワクチン接種法の改正:2001 年の全国的な流行以降、麻疹ワクチンキャンペーンの効果により患者報告数は激減し、2004 年以降は、すべての都道府県で大きな流行は認められなかった事から、麻疹ワクチンの1回接種では、二次ワクチン不全のために麻疹にかかってしまう事が防げないため、2006年から日本でも欧米にならい、乳幼児と小学校入学前の2回、ワクチンを接種する事に改められました。
  麻疹にかからない様にするには:まずは、乳幼児期にワクチンを接種することが最も大切な事です。ワクチン接種の有効性をより高めるために、公費で接種できる期間 が大幅に狭められていますので、定められた期間に忘れずにワクチンの接種を受けてください。また、ブースター効果が期待できない現在では麻疹、風疹ともに2回目の接種を受ける事が必要です。これまでの1回接種の時代に1回のみの接種で育った10〜20歳台の方はもう1回、MRワクチンを受ける事が必要と思われます。
 年齢群別麻疹抗体保有率(下図左):年齢群別に麻疹に対する抗体保有率を見てみると、予防接種が始まる1歳代で95%以上となり、その後緩やかに上昇して、30代以降はほぼ100%となっています。特に40歳以降は抗体保有率がほぼ100%ですので、麻疹にかかる可能性は非常に低いと思われます。
 ワクチンを受けていない人は(下図右):ワクチン接種歴がなくても、40代以降では抗体保有率はほぼ100%(まだ麻疹が流行する時代を生き抜いて来たため、自然感染で免疫が成立しているものと思われる)ですが、それ以下の年代では抗体保有率が低いので、ワクチンの接種が必要です。麻疹は感染力が非常に強いので(空中に浮遊している時間が長いため、その感染力はインフルエンザ以上)、抗体を持っていない人は麻疹に罹患した方と接触すると高率に発症します。麻疹は発症後、診断が確定するまでに3日前後かかりますので、麻疹を発症したと気づかずに接触して感染が拡大していきます。
いずれも国立感染症研究所の資料から抜粋:http://idsc.nih.go.jp/yosoku/Annual-J/2004/2004-06.pdf 参照
 麻疹に対する免疫があるかどうか:予防接種を受けたかどうか、麻疹にかかったかどうかはっきりしないという方が、麻疹に対する免疫を有するか否かは、血液検査で抗体を測定してみないと断定的な事は言えません。抗体検査は自費診療となりますので、医療機関によって差はありますが、費用は5千円前後です。ご希望の方は最寄りの医療機関へお問い合わせください。